
最後の翼人「神奈」の転生である人間「神尾観鈴」の魂に継承された呪いと宿命が、「国崎往人」の愛と自己犠牲と「神尾晴子」との本当の親子の絆により浄化され、新しい始まりを迎えることが描かれた1000年の時を超える悠久の恋愛ファンタジーのアニメ版「AIR」。ループもの、セカイ系のやや難解な作品である「AIR」のキャラ、見所、考察をまとめています。内容がたとえ良く分からなくても雰囲気で泣けてしまう感動作品。
テレビアニメ版「AIR」
『AIR』(エアー)は、Keyが制作した2作目の恋愛アドベンチャーゲーム、およびそれを原作としてメディアミックス的展開がなされたアニメやコミックなどの作品群。
TVアニメ「AIR」は京都アニメーション制作で、2005年にBS-i(現・BS-TBS)にて放送された。人形遣いの青年・往人と海辺の田舎町で出会った観鈴ら少女たちとの交流を通して、1000年の時を超える悠久の愛のロマンが感動的に繰り広げられていく。
テレビアニメ版『AIR』の主題歌『鳥の詩』(とりのうた)ブルーレイディスク特典版
テレビアニメ版ではテレビ放送用に1分半に編集されたものが用いられていたが、後にテレビアニメ版がブルーレイディスクで発売された際には1番の歌詞をそのまま使ったオープニングがHDTV仕様で新規作成され、特典として収録された。
「AIR」の「DREAM編」 国崎往人と神尾観鈴の出会い。現代が舞台。
「AIR」の第一部「DREAM編」は現代が舞台であり、主人公であるさすらいの人形遣いの青年「国崎往人」が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐひと夏の物語が描かれる。
国崎往人(くにさき ゆきと)は「AIR」の主人公。
「AIR」は「法術」と呼ばれる不思議な力で、人々に芸を見せながら旅を続ける人形使いの「国崎往人」を中心に描いたファンタジー。国崎往人は幼少の頃、今は亡き母親から聞かされた『この空のどこかにいる翼を持つ少女』を(必死にではないが)探している。
神尾観鈴(かみおみすず)は、『AIR』のメインヒロイン。堤防で主人公国崎往人と出会う。その後、見ず知らずの往人を自分の家にしばらくの間泊めてあげることにし、そして、二人の忘れられないひと夏が始まった…。家族は義母の神尾晴子のみ。
人と親しくなりそうになると癇癪を起こす。この癇癪が原因で友達ができなかったのである。
さらに心が近づき過ぎてしまうと相手の体も蝕んでいってしまう。第二部「SUMMER編」で後述するある呪いが原因。
観鈴の正体は空にいるもう一人の自分である最後の翼人(よくじん)「神奈備命」(かんなびのみこと)(第二部「SUMMER編」で登場)の魂が人間に転生したものである。
神尾晴子(かみお はるこ)は、『AIR』に登場する神尾観鈴の母親。観鈴と一緒に一軒家で暮らしている。昼間は働いており家にはいないが、何の仕事をしているかは不明。イタリアのオートバイメーカーであるドゥカティ社のモンスター」を愛車にしている。帰宅時は例外なく納屋にバイクで突っ込み、主人公・国崎往人を驚かせている。またかなりの酒豪で、国崎往人は毎晩、晩酌の相手をさせられている。
AIR編では観鈴に対する彼女の真の気持ちが明らかになる。 本当の親子になろうと必死に頑張る晴子の姿はまさしくAIRのもう1人の主人公である。
霧島佳乃と霧島聖との出会いから羽の呪いの解除
霧島佳乃(きりしまかの)はゲーム・アニメ「AIR」の登場人物。
霧島佳乃は、観鈴・美凪の1学年下。魔法を使えるようになるために、右手に巻いた黄色いバンダナを外さない、明るく元気な少女。両親は他界しており、主人公が辿り着いた街の繁華街で開業医を営む姉の聖と 2人暮らしをしている。
母親が亡くなった年、神社の夏祭りに出かけた佳乃と聖は神社に祀られていた御神体の「羽根」に触れてしまう。
それ以来、佳乃は時々正気を失って外を出歩いたり、 夜中にメスで手首を切ろうとしたり といった奇行に走るようになった。 手首に巻いたバンダナは、手首を切ろうとしてもそれを見て正気に戻るよう、「大人になるまで外したらいけない。そうすれば魔法が使えるようになる」 と言って聖が着けさせたもの。
佳乃に表れる謎の人格の正体は「白穂」という名の女性。かつて自身の息子を生け贄として捧げることを迫られ、「ならばいっそ」と自らその子の首を絞めて殺そうとするが結局思いとどまり、自ら命を絶った。そして、御神体に残留した白穂の記憶により、佳乃の身体を媒介にその場面をリピート再生してしまうのだった。作中でふらふらと出歩いたり、手首を切ったり、凄まじい力で往人の首を絞めたりしているのは、全てそれによるもの。
「遠野美凪」と「みちる」との出会いから羽の呪いの解除
遠野美凪(とおのみなぎ)は、観鈴の同級生で、成績は学年トップクラス。物静かで心優しい性格。料理と裁縫が得意。天文部の部長。
廃駅で親友のみちるとシャボン玉で遊んでいたときに、主人公の国崎往人と出会う。
美凪には妹ができるはずだった。しかし美凪の母は流産をし、妹は亡くなってしまった。それを境に両親は離婚、母は心の病となり、美凪を死んだ娘『みちる』と認識するようになってしまう。
そして美凪も『みちる』として生きていくことにする。
ある日、美凪の前に「みちる」と名乗る少女が現れる。 これは美凪を幸せしたいというみちるの思いが空にいる少女の力に触れ、美凪の前に現れたのである。
往人の説得により、美凪は家に戻る。母親は美凪を一目見るなり、美凪のことを思い出す。とうとう二人は親子に戻ることができた。みちるとも最後に良い時間を過ごすことができた。
遠野美凪は、その後、みちるに家族の暖かさを知ってもらうために家に招待、美凪の母親のハンバーグを食べたり、幸せな時間を過ごす。
後日、美凪のもとへ離婚した父親と、再婚相手との間で生まれた子供が遊びに来て、そしてその子と友達になる。その子の名は…みちる。
みちるは、遠野美凪と国崎往人の尽力で(人間に転生できない)「翼人の羽の呪い」を解き放ち開放され、新しい生命「遠野美凪の(異母)妹・みちる」へ転生する。
神尾観鈴の翼人の呪いの発現と国崎往人の消滅・カラスへの転生
ある日、往人は家で倒れている観鈴を発見する。どうやら、観鈴は夢を見るたびに身体が弱っていっているようだった。観鈴は、この空のどこかにいる翼を持った少女と、自分の哀しい夢がリンクしていることを理解しはじめていた。また、身体の変調は往人にも起こった。
神尾観鈴と国崎往人は、「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」(元は八百比丘尼が受けた呪い)によって互いに衰弱する。
往人も例外ではなく、観鈴に心が近づき過ぎたため体が蝕まれていった。そのため、往人は神尾家を出て行くが、観鈴が笑っていてくれればいいと気づき、再び神尾家に戻る。
国崎往人が法術の力で自身を犠牲にして観鈴(正確には神奈の魂)にかけられていた「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」を解除した。この呪いが解けたことで、観鈴は一時的に自力で歩けるレベルまで体力が回復する。
法術で人形の中に魂を封印し消滅した国崎往人は、カラスの「ソラ」へ転生し、最後まで近くで観鈴を見守り続ける。
「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」は、国崎往人の法術でこの時に浄化されたため、第三部「AIR編」の晴子と観鈴は親密になっても晴子が病むことがなかった。
第二部「SUMMER編」 1000年前の夏にさかのぼる。
翼人の守護の命を受けた柳也は、神の使いとされながら捕われの身のような生活を送る翼人・神奈と出会い、心を通わせるが…。
千年前の夏が描かれ、主人公「国崎往人」とヒロイン「神尾観鈴」の間の運命的なつながりが暗示される。
「神奈備命」(かんなびのみこと)は、両肩に巨大な翼を、先天的に受け継ぐ「翼人」(よくじん)の末裔。1000年前の正歴5年に生きる最後の翼人であり、神の使いとして崇められながらも囚われの身であった。自分のことを「余」と呼ぶなど、独特な話し方をする。畏敬の裏に隠された周囲の悪意と恐怖心など、翼人としての哀しい運命と冷静に向き合って生きてきた。
神奈の生まれ変わり(神奈の魂が転生した人間)たちは、「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」と「永遠と哀しい夢を見せ続ける呪い」を魂に引き継いでいるため、みな苦しんで不幸のうちに死んでいってしまった。現代の転生先は、神尾観鈴。
呪いとは別に、翼人の器に耐えられない普通の人間では「星の記憶」を担うことができないことが示唆される。
柳也(りゅうや)は、神奈備命の衛者で社殿の警備隊長。幼少期より己の力だけを頼りに修羅場を潜り抜けてきており、実戦で培われたその剣技はかなりのもの。
神奈備命にかけられた呪いである「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」を受けて「柳也」(りゅうや)は負傷の直りが悪く、日に日に衰弱していった。
呪詛により天空に封印され哀しい夢を見続けている「神奈」を救う方法を探すが見つからず。柳也は裏葉と契り子供を作る。その子孫たちが神奈を救うために尽力していくが・・・。
裏葉(うらは)は、神奈備命の女官。普段はとてもマイペースで、どこまでが真剣なのか判別しがたい。おっとりしている様だが、剣の達人である柳也にも気配を悟らせずに背後を取ることもできる。寺院の高僧の「知徳」(ちとく)から「法術」と呼ばれる力を学んだ。100年にひとりの法術の才能を持つ。
柳也は裏葉と結ばれ、子をなした。柳也と裏葉は神奈救済の方法を見つけることはできなかったが、いつの時代か、きっと自分たちの子孫が神奈の魂を救う方法を見つけ出してくれることを願う。
柳也と裏葉の間に生まれた子供の生まれ変わりたち(柳也と裏葉の魂が転生した人間)は、神奈の生まれ変わりを法術で救うことができなかった。そして現代の転生先は、国崎往人。往人が持っている人形は裏葉が作ったものだった。
八百比丘尼(やおびくに)は、神奈備命の母親。その強大なる力故に紀州の霊山に封印されている。厳格な性格。
神奈備命は、八百比丘尼の手を触れたとき、彼女が戦場で受けていた呪詛「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」を引き継いでしまった。
観鈴は、この呪いのせいで、人と親しくなりそうになると癇癪を起こす(この癇癪が原因で友達ができなかったのである。)。さらに心が近づき過ぎてしまうと相手の体も蝕んでいってしまう。
翼人の力を解放した神奈に対し、霊山の大勢の僧たちが一斉に呪詛をしかける。霊山の僧たちの「永遠と哀しい夢を見せ続ける呪い」という呪詛が赤い鎖のような形状になって神奈を拘束している。
呪詛により、飛翔が止められた神奈は、沢山の矢にも射られ消滅してしまう(天空に封印された)。消滅時に羽が舞う。この羽も呪いが込められていると思われる。
1)翼人の使命である「星の記憶」の継承は、翼人の器ではない普通の人間の器では受け継ぐことは無理である。人間では耐え切れない。この問題は解決ができない宿命と思われる。そのため「観鈴の短命」は避けられない宿命と思われる。神奈備命がもともと受け継いでいた「惑星の記憶」の莫大な情報量に人体が耐えきれない。
2)「永遠と哀しい夢を見せ続ける呪い」(神奈は哀しい夢を見続けている) 次章はこの呪いを解いていく話。哀しい記憶を、幸せな記憶で浄化する。
3)「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」 この呪いは、国崎往人の自己犠牲・法術により、すでに解かれていると思われる。
4)翼人が戦いで殺めた沢山の人々の呪い・恨み・穢れ。 現在まで1000年も続いた哀しき宿命によって、この穢れはある程度、浄化されているのかもしれない。
5)歴代の翼人が受けた被害や「神奈」が無数の矢で射られて、翼を中心に傷だらけになった痛みや記憶。 観鈴の翼が痛いという台詞は、この痛みが魂に継承していることを示しているかもしれない。
これらの呪いや問題が、最後の翼人「神奈」の転生である人間「観鈴」の魂に継承されていることが示された。
第三部「AIR編」 現代の夏の始まりに再ループ・カラスのソラ(国崎往人)視点
第三部「AIR編」は、現代に戻って第一部と同じ時間・場所が舞台となり同じ物語が反復される。視点は国崎往人ではなくカラスの「そら」となっており、その視点から第一部での往人と観鈴の物語を傍観することになる。
AIR編では観鈴に対する彼女の真の気持ちが明らかになる。
一緒に暮らす内に情が芽生えてしまい、いつか実の親に引き取られた時の悲しみを大きくしない為に、無理に距離を置いていたという真相が語られる。
しかし往人の言葉によって心が揺らぎ始めており、いつしか弱っていく観鈴に対して何もしてやれない自分を不甲斐なく思い始める。
国崎往人の願いと法術によって観鈴(神奈)の「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」は解除されていたので、残りは「永遠と哀しい夢を見せ続ける呪い」の解除のみであった。
観鈴は晴子との親子の絆を深め、そら(国崎)にも見守られながら満足して死ねたことで、「幸せな記憶」を魂に刻むことができて、1000年続いた最後の呪い「永遠と哀しい夢を見せ続ける呪い」は完全に浄化された。
「幸せな記憶」を魂に刻むことができた観鈴「…もうゴール、していいよね・・・私のゴールは幸せと一緒だったから、だからね、ゴール・・・(やっとたどり着いた・・・ずっと探していた場所・・・ずっと幸せな場所・・・)」
普通の人間の「観鈴」は翼人の使命である「星の記憶を担う」ことができる器ではないため、もう体は限界だった。(「神奈」の呪いを解くための)すべてをやりきった観鈴は「ゴール・・・」とともに亡くなる。呪いではなく、星の記憶を担う宿命によって亡くなった。観鈴の死自体は、翼人の転生という宿命であるがゆえに避けようがなかった。

「ソラ」は、呪いから解かれた「神奈」の魂を迎えに飛び立つ。
体が大きくなっている感じがする(晴子も大きくなったかと発言している)のは、国崎ではなく、「柳也」と「裏葉」、二人の魂を持っている暗示かもしれない。
観鈴のがんばりによって神奈の魂は癒され、哀しい輪廻は終わった。
観鈴が満足して人生を終えたことを見届けたカラスの「そら」は、1000年の呪いから解かれた「神奈」の魂を迎えに、空に力強く飛び立つ。
おそらく、神奈と柳也と裏葉は無限に続く空でいつまでも仲良く一緒にいることだろう。裏葉の3人でいつまでも一緒にいたいという願いが叶っただろう。
観鈴と往人の出会いの場面へループ(ラスト)二人の子供は誰か?
翼人の器に耐えられない普通の人間の「観鈴」は「星の記憶を担う最後の子」になり死亡した。
「柳也」と「裏葉」の宿命から開放された「国崎」の魂と「神奈」の宿命(翼人の使命)から開放された「観鈴」の魂は、国崎と神奈が出会った時には「普通の人間の子供」として転生していたことが最後に示される。
海辺にいる2人の子供のうち、男の子は国崎、女の子は観鈴の魂の継承者と思われる。男の子(国崎)は転生前の記憶を持っているようだが、女の子は記憶を持っていないようだ。
男の子と女の子は、向こう側にいる国崎と観鈴のこれから始まる過酷な運命を知っている。
国崎が転生した男の子「彼らには、過酷な日々を。そして僕らには始まりを・・・さようなら・・・」
さようならは、「神奈」と「柳也」と「裏葉」、1000年もの宿命(哀しき記憶・過去)に対してだろう。
呪いは解かれたものの、「星の記憶を担う」宿命により命を落とした観鈴と、自己犠牲によって消滅した国崎も、普通の人間の子供に転生することで救済されて終わる。
晴子は地元の保育所で働くことになるので、おそらく、国崎と観鈴の魂を持ったこの二人の子供と出会い、まるで親子のような3人の絆を育んでいくのではないだろうか。
全員が救済されたハッピーエンドと言えるのではないでしょうか。

「観鈴」と「国崎」の魂が転生した男の子と女の子(普通の人間の子供)の歩む姿は、新しい始まり(1000年もの宿命から解かれたことによる、自由の始まり)を示しているのだろう。
アニメ版「AIR」の解釈の可能性を示した考察のひとつとしてご参考になればと思います。
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